タクシー運転手・田中さん
タクシーに乗った。運転手の田中さんは55歳。
若い頃の話をしてくれた。とても痛い話を…。
車内に入ると、突然「肩が痛いわ…」とつぶやく田中さん。
「肩が痛くてね…たぶんどこかでぶつけたんだろうなぁ」だって。
「最近はいつの間にか打撲傷をおってんだよね…。若い頃から無茶ばかりしてきたから体中ガタガタだよ。昔、足を骨折してさぁ。新聞配達中に川に落っこちて…冬でね…凍っててさ、自転車が凍った坂道で滑ってね。曲がりきれずに川へね…足から落ちてさ、骨折だよ。まあヒビだったけど。体中痛かったんだけど。そのまま新聞配ってさ、家に帰ったのよ。そしたらね足が2倍に腫れ上がって、医者に2時間かけて来てもらってさ診てもらったの。そしたらヒビが入ってたのね。
そんで17歳の頃さ、無免許でバイクに乗ってて車と正面衝突しそうになってさ、よける打ために畑につっこんだの。そこは丸太が積んであってバイクはそこで止まったけど、自分は飛んだのよ空中を…肩から地面に落ちてね、鎖骨骨折…。いったん折れると癖になるんだよね。電柱にぶつかって同じ鎖骨が折れたことがあるよ。
そんで一番痛かったのは、パン工場での事故だね。パンの機械…動かしながら掃除してたのね。左手にスケッパー持ってて、でスケッパーを落としちゃってさぁ、反射的にそのまま左手で拾おうとしちゃたのね。左手の中指と薬指を巻き込まれて先端が2センチぐらい、ほら!こんなふうに切れちゃったの。あっビックリした?
いや本当に痛い時って痛みというよりすごく熱く感じるんだよね。まるで左手の先に熱湯をかけ続けられるような感じなの。血がドクドクでてきてね。病院に着いた頃はフラフラだったよ。1週間入院したね。指も持っていったけど、食用油まみれでつかないって言われたときはショックだったよ。傷がふさがってからさ、骨を削るんだよ。はみ出してる。それも痛かったなぁ。いまだに中指は触られると痛いよ。
おっと、そこの信号まで?はい、どうも。お客さん領収書は?」